【18】所得を上げる際の注意事項

日常の中で余暇活動を行える余力と資金黒字貯蓄を作っていくことを目指す。

 

ではどの程度の貯蓄が必要なのか、どの程度の貯蓄増加量であれば良いか。これに関しては基準はなく目標値もないので月々増えていけばそれで良い。

 

通常通り暮らしていれば消費や浪費は少なく、月々ある程度の黒字が確保できれば自然に貯蓄は貯まる想定なので現状心配はない。ひとまず最低月1万円から5万円の間で黒字貯蓄ができれば十分だ。

 

そして、そもそもの黒字が作れない場合は所得を上げるか出費を減らすかどちらかになる。

 

所得を上げる場合、影響の大きく注意しておかなければならないことがある。それは課税率だ。

 

この国ではお金を稼ぐと所得金額に応じて上下する累進課税システムがあり、所得が高くなれば高くなるほど税金や社会保険として取られる額も上がる。つまり収入が増えたから増えた分と同じだけ黒字が増えるのではない。

 

仮に一時的に収入を得たり手当や補助が付いたりして懐が安定したとしても、翌年税率が高くなったことにより各種税金や社会保障への支払いが増えてしまい、稼いだことにより最終的に手元に残るお金が少なくなることもある。

 

あくまで累進課税制度による割合の計算なので、最終的に手元に残る金額の実数が減る事は滅多にないとはいえ、気にしなければならないのは所得を向上させるために行った労力や時間と、翌年最終的に手元に残る金額の増加分とを比較して、それが釣り合っているかどうかだ。

 

だから単純に所得を向上させれば良いと言う話ではない。それが見合っているかだ。

 

税率で最も要注意なのは前年の所得金額に対して定められた割合で計算される所得税と住民税。特に所得税は注意で、特定の金額を超えると翌年の課税額が10%も上がってしまう場合がある。

 

また健康保険、国民年金も注意が必要だ。前年の所得金額を国が定めた標準報酬月額というランクに振り分けて支払う金額が変わる。これも特定のラインを超えると標準報酬月額における扱いのランクが上がり課税額が上がり、出費額が増えることになる。

 

課税率は所得税に比べてまだマイルドな方だが、こちらは他の点で注意が必要だ。どちらかというと会社に所属していて会社の厚生年金や会社の健康保険組合に加入しているかどうかで支払う金額が大きく変わる。

 

何故かというと会社に所属せず個人で働いている場合の国民年金社会保険では、前年所得金額に応じて計算された納付に必要な金額の100%を個人で支払う必要がある。

 

それに比べて会社に所属していて、会社の厚生年金や健康保険組合に加入している場合、その前年所得金額に応じて計算された納付に必要な金額の50%を雇っている会社側が支払うように法律で定められている。つまり個人負担が50%になり個人で支払う金額が減ることになる。

 

つまり会社に所属する事で月々数万の出費を個人として節約することができる。そして年金は支給開始までに支払った金額料に応じて金額が決まるシステムになっており、納付額が大きければ帰ってくる金額も増える。

 

これは会社に支払ってもらった厚生年金の支払い額50%のメリットをそのまま受け取れるということだ。

 

年金を受け取るということまで考えなくても、年金と健康保険に関しては個人で毎月支払うにしては支払い金額が大きすぎるので、会社に所属しているかどうかで相当変わることは覚えておいた方がいい。

 

また気付き難いが注意しなければならないこととして、家賃補助や交通費支給がある。

 

これらは一時的に得をするのでそっくりそのまま得したように感じるが、家賃補助や交通費支給によって得た金額は給与所得として計算されるため、翌年の税率が上がってしまう。

 

働く都合上、家を借りたり交通機関を使わないといけない場合、稼ぐために支給された金額を使い果たして得はしない。むしろ支給された金額分も給与所得として課税対象となるため翌年の課税額が上がるだけなので損失でしかない。

 

得する場合は、家賃補助などにより賃貸を借りてその自宅を他の用途で活用する場合や、交通費支給などを定期を買って仕事以外で使用する場合に限られる。つまり基本的に得しておらず翌年の課税額が上がるだけで、メリットが生じるのは他の用途があった時だけだ。

 

このようにただ収入を上げれば良いということではなく、課税の仕組みについて知っておく必要がある。

 

他にも給与所得ではなく株式の配当所得の場合は税率が20%で、譲渡所得は所有期間で税率が変化するなど様々な仕組みがある。全ての仕組みを知ることも大変な上、実際に行おうとすると元手となる資金が必要なのですぐに出来ることではない。ただ、様々な所得区分があることは覚えておきたい。

 

結局、お金を手に入れるということに関しては重要なのは最終的に手元にどのくらいお金が残るのか、そしてその手に入れた金額に入手するために注ぎ込む時間や労力が見合うのかが重要だ。